長野県内では「電話でお金詐欺(特殊詐欺)」や「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害が増加しており、高齢者のみならず、幅広い年代に被害が広がっています。令和6年中の被害総額は約27億350万円にのぼり、極めて深刻な状況にあります。
こうした中、特殊詐欺の未然防止に向けて、企業も様々な役割を担い始めています。
今回は、実際に対策に乗り出している企業が、どのような取り組みを進めているのか、その現場を取材しました。
「守る」も「育てる」も、信頼関係あってこそ。

支店長 小倉孝志
特殊詐欺集団の台本は恐ろしい
小倉支店長いわく、特殊詐欺集団は金融機関の確認事項を徹底的に把握し、自然に振る舞わせるよう窓口でのやり取りを教える。
「ですから、私たちも講習会やセミナーに積極的に参加し、最新の手口を学び、日々、特殊詐欺対策をアップデートしています」
想定問答を用意し、台本まで整える周到さは悪質の極みだ。対し、横浜幸銀信用組合・松本支店は、細部まで対策を重ね、現場力も磨いている。その不断の積み上げには頭が下がる思いだ。
詐欺防犯は信頼構築から
横浜幸銀信用組合・松本支店では、65歳以上のATM使用制限や声かけ運動など、水際対策もしっかり整備されている。
「たとえば『リフォームのためにお金を引き出したい』と言われたら、見積書や請求書を確認します。不自然さがあればさらに聞き取り、必要に応じて警察とも連携します」
やはり対面で築く信頼関係こそ、最大の防御。支店長はそう話す。
「それに対面なら、相手の表情や声の抑揚から、本気度・困っている度合いも読み取れますしね」
実際に同支店では来客時、個別ブースへ案内し、周囲を気にせず話せる環境を提供している。
「特殊詐欺対策には、何でも話せる信頼関係が何より有効です。だからこそ、〈フェイス・トゥ・フェイス〉。私たちはお客さまと顔を合わせることをとても大切にしています」
守り、育てる
横浜幸銀信用組合では、お金は「守る」だけでなく、「育てる」ことにも注力している。
たとえば、同組合のオリジナル金融商品「年金定期預金」。年利は驚きの1.25%だ(組合員でない方1.15%)。
さらに同支店では、年金受給日にはお菓子などをプレゼントするイベントも開催。スタッフが個別ブースにて笑顔で出迎える。
こうした取り組みは、特殊詐欺から暮らしを守るだけでなく、将来のために資産を育てるお手伝いにもつながっている。
そう、お客さまと顔を合わせて築いた信頼は、特殊詐欺への対策にも未来を育てる一歩にもなる。
コロナ禍で一度は失われた対面の時間が戻ってきた今こそ、人と人が向き合う価値について、改めて考えてみてはどうだろう。

横浜幸銀信用組合 松本支店
松本市中央2-3-17知新堂ビル1階
電話:0263-35-4177



















